筋トレのグリップの種類や握り方・効果の違いについて、皆さんはご存知でしょうか?
筋トレを行う際、バーベルやダンベルを使用する人は多いと思いますが、バーベルやダンベルを使用する時の握り方や握る位置によって、実は筋トレの効果や効かせる筋肉の部位は変わるのです。

有名なグリップとして、「サムレスグリップ」「ナローグリップ」「オーバーハンドグリップ」など、一度は耳にしたことがあるグリップもあると思います。
ですが、そもそもグリップにはどんな種類があるのでしょうか?
また、それぞれの握り方や効果はどのような違いがあるのでしょうか?
なので今回は、筋トレのグリップの種類や握り方・効果の違いについてプロのトレーナーが徹底解説します!
筋トレのグリップの種類や握り方・効果の違いについてプロのトレーナーが徹底解説します!

手幅の違いによるグリップ
まずは「手幅の違いによるグリップ」についての解説です。

主にバーベルを用いて行う、ベンチプレスやショルダープレス、ベントオーバーロウといった種目などに使うことができます。
手幅は大きく分けて3種類あります。
①「ミディアムグリップ」
②「ナローグリップ」
③「ワイドグリップ」
1つ1つ詳しく解説していきます。
①「ミディアムグリップ」
筋トレを行うときのスタンダードとも言えるのが「ミディアムグリップ」です。
最もベーシックなグリップで、ベンチプレスやチンニング(懸垂)などで言われる「肩幅から1.5倍」ほどの位置で持つ幅を「ミディアムグリップ」と呼びます。

例えば、ベンチプレスでベンチ台に寝転がり、バーベルをもって肘を曲げた時に、床に対して前腕部が垂直になる位置が目安です。
この手幅は一番力が発揮しやすい位置であるため、スタンダードな手幅として紹介されています。
ちなみに、バーベル種目だけでなくプッシュアップ(腕立て伏せ)のときも、この手幅で行うことで大胸筋をしっかりと鍛えることができます。
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②「ナローグリップ」
ミディアムグリップよりも手幅が狭くなる位置で持つことを「ナローグリップ」と呼びます。
ナローグリップの手幅は、ミディアムグリップより「掌1個分内側の位置」が目安です。

個々人によって押しやすい位置が変わる(骨格的問題や感覚的問題によって変動する)ため、このような位置になっています。
例えば、ベンチプレスをナローグリップで行うと、大胸筋メインの種目ではなく上腕三頭筋をメインに使うナロープレスという種目に変わります。
人によっては、手幅が狭すぎると手首や肘に負担がかかりやすいため、自分に合った手幅を見つけることで、怪我を予防し筋トレの効果を高めることができます。
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③「ワイドグリップ」
ミディアムグリップより、さらに広い手幅で握ることを「ワイドグリップ」と呼びます。

広い位置で持つことにより、ベンチプレスでは上腕三頭筋の関与を減らしたり、チンニング(懸垂)では広背筋から大円筋にかけて負荷を強くしたりすることができます。
広く持ちすぎてしまうと逆に力が入りづらくなり、筋トレの強度が下がってしまうことがありますので注意が必要です。
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角度の違いによるグリップ

次に「角度の違いによるグリップ」についての解説です。
①「オーバーハンドグリップ(順手)」
最もスタンダードな持ち方が「オーバーハンドグリップ(順手)」です。
鉄棒をする時によく聞く言葉ですが、床に置いてあるバーベルを持つ時に掌が自分の方を向いた状態で持つ握り方のことです。

ベンチプレスやショルダープレス、スクワット、ベントオーバーロウなどといった、ほとんどの筋トレ種目で用いられる基本的な持ち方です。
②「アンダーハンドグリップ(逆手)」
オーバーハンドグリップと逆向きで、掌が前を向くようにバーベルを持つグリップが「アンダーハンドグリップ」です。

イメージは、バーベルカールやダンベルカールなどの持ち方です。
上腕骨を外旋させて持つことにより、チンニング(懸垂)やラットプルダウン、ベントオーバーロウなどでは、広背筋の伸張性をより強調させることができます。
オーバーハンドグリップより力が入りにくい種目も多いため、使うタイミングは見定める必要があります。
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③「ハンマーグリップ(ニュートラルグリップ)」
両掌が向かい合うように持つことを「ハンマーグリップ(ニュートラルグリップ)」と呼びます。
主にダンベルを使った種目で用いられるグリップで、ダンベルフライ、シーテッドロウなどで使われます。

ラットプルダウンやストレートバーではこのグリップがそもそもできない場合もあるので、種目によって握り方は変わります。
④「オルタネイトグリップ」
片方の手はオーバーハンドグリップ、もう片方の手はアンダーハンドグリップでバーベルを持つのが「オルタネイトグリップ」と呼びます。
オルタネイトグリップの最大の特徴は「グリップの強さ」であり、オーバーハンドグリップのような握り方の場合、バーベルが回転してしまい、グリップを維持することが難しくなります。

ですが、オルタネイトグリップは片方ずつ握り方が変わるため、強固なグリップ力を保ち続けることができますので、デッドリフトのような高重量を持つ種目で使われることが多いです。
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⑤「スピネイトグリップ」
動作の途中で手首を回外させながら筋トレを行う方法を「スピネイテッドグリップ」と言います。
※回外とは外側に向かって回転させること。
主にダンベルを使ったダンベルカールで使われるグリップです。
手首を回外させながら肘を曲げていくことで上腕二頭筋の最大収縮、回内させながら肘を伸ばしていくことで最大伸張を狙って筋トレができるのが特徴です。
親指の位置の違いにるグリップ

次に「親指の位置の違いによるグリップ」についての解説です。
①「サムアラウンドグリップ」
バーベルやダンベルを持つ時に、親指と人差し指の間にバーベルやダンベルが当たるようにして、親指とその他4指でバーベルを包むように持つ方法が「サムアラウンドグリップ」です。

イメージは、かばんや電車のつり革を持つときなどの形で、基本的にはどの筋トレ種目もこの握り方でもちます。
握り込むことでバーを落とすことなく安全にトレーニングができますが、前腕が先に疲労しやすいというデメリットもあります。
②「サムレスグリップ」
サムアラウンドグリップの状態で親指を外した持ち方を「サムレスグリップ」と呼びます。

この持ち方は、握り込むことができないため、前腕の関与が少ないため、狙った部位を鍛えやすいというメリットがあります。
ただし、親指の支持がないため、掌からバーベルやダンベルが滑り落ちる可能性があるため、注意が必要です。
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③「フックグリップ」
サムアラウンドグリップの握り方で、親指を人差し指、又は薬指で被せるようにして握ることを「フックグリップ、と言います。
主に、ウエイトリフティング選手がスナッチ、クリーン&ジャークという競技種目を行う際に使う特殊なグリップです。

握りこむというよりも親指と人差し指または薬指を使って輪っかを作り引っ掛けるようにするため、「フック」という呼び方がついています。
グリップ力があまり強くないオーバーハンドグリップでも「フックグリップ」を使うことにより、高重量を扱うことができるようになります。
慣れていないと親指にかなりの負荷がかかり、痛みを感じることがありますので注意が必要です。
④「ピンチグリップ」
握るというよりも指で挟むように持つことから「ピンチグリップ」と呼ばれます。
プレートの端を指で摘まむように持つグリップのことで、主に握力や指先の力をつけるために使われます。
通常のダンベルやバーベルなどで行うと、落としてしまう危険があるので注意が必要です。
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⑤「ワンハンドグリップ」
片手でダンベルなどを持つことを「ワンハンドグリップ」と呼びます。

主にワンハンドローイングやワンハンドダンベルカールといった種目で使われます。
片方づつしか鍛えることができないため時間が2倍必要になりますが、片方に集中して筋トレができるのが特徴です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、筋トレのグリップの種類や握り方・効果の違いについてプロのトレーナーが徹底解説します!
まとめると、下記のとおりです。
手幅の違いによるグリップ
・最も力が発揮しやすい「ミディアムグリップ」
・狭い手幅で腕などを鍛えられる「ナローグリップ」
・広い手幅で特定の部位を集中して鍛えられる「ワイドグリップ」
握る手の角度の違いによるグリップ
・手の甲が上を向くグリップが「オーバーハンドグリップ(順手)」
・その逆の逆の握り方が「アンダーハンドグリップ(逆手)
・両掌が向かい合うように握るのが「ハンマーグリップ(ニュートラルグリップ)」
・片方が「オーバーハンドグリップ」もう片方が「アンダーハンドグリップ」で握るのが「オルタネイトグリップ」
・動作中に回旋動作を加えながら筋トレを行う方法が「スピネイトグリップ」
親指の位置の違いによるグリップ ・バーベルに親指をしっかりと巻き付けて握る方法が「サムアラウンドグリップ」 ・親指を外した状態で握る方法が「サムレスグリップ」 ・親指を人差し指と薬指で押さえるようにもつ方法が「フックグリップ」 ・指で挟むように持つ方法が「ピンチグリップ」 ・片手だけでダンベルなどを握る方法が「ワンハンドグリップ」

グリップによって、種目や効かせられる部位、各種目との相性などがあるので、自分の目的に合わせて最適なグリップを選ぶことができると良いでしょう。
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